脂肪はもちろん余計な筋肉もない均整のとれた細身は、柔軟でしなやかな猫科の肉食獣を連想させる。


 尻尾が生えているところまで背骨を指先で辿ってやると、細かく身体を震わせて甘い声をあげた。



 しなやかな身体を震わせて喘ぎ啼く姿は猫の媚態そのもので、拙いのに妙に色っぽくて可愛い。





 愛撫を待ちわびて既に膨れていた乳首を摘んでやると、アグニはソファに沈んだ背を仰け反らした。




「あ・・ッ、ふ・・んぅ、んっ」


「色っぽい声は我慢しなくてもいいよ。

 ここは娼館も兼ねた窟(あなぐら)だから、声が漏れても誰も気にしない」




  思わず高く上がった声を抑えようと口元を覆った手に顔を寄せ、劉は笑みを浮かべて囁きかける。


 そして左乳首を捉えていた指先を蠢かすと、アグニはもどかしげに腰をくねらせて擦りつけてきた。




「や、あぅ・・あっ。劉さ・・まぁ、もう・・・ッ」




 劉の肩に甘えるように腕を絡ませ、すでに潤みきった物欲しそうな灰色の瞳が見上げてくる。



 高められていく熱と快楽に息を乱し、普段は低めな声は喘ぎにうわずって高く切れ切れに紡がれる。


 喘ぎのまま半開きになった唇からはいつもより発達した犬歯と赤い舌が覗き、とても扇情的だった。




 劉が微笑して剥き出しの脚に手を這わせて膝を折り上げてやると、すっかり濡れた白い下着が露になる。




「は、あぅぅ・・・」




 濡れてほぼ透けていた下着を取り去ってやると、アグニはその布が擦れる感触にさえ息を詰める。



 あえて性感帯に触らずに焦らし続けると、触る頃にはそこが何倍もの感度になると劉は知っていた。


 だから決定的な快楽を与えずにいたその性器は、半ば勃って先走りをずっと零していたのだ。



  しかしその露が滴る性器の丸い先端をつつくと、アグニは大きく腰を揺らして膝を閉じようとした。




「あッ!や、あぁ・・・」


「黄猫(ホアンマオ)。
君の阻茎を触ってあげたいから、もっと脚を開いてごらん」





 強烈な快感に驚いたのか、怯えたように中華服に爪を立てる手を握って優しく声をかけてやる。



 すると熱に火照っている頬を羞恥のためにもっと染めつつ、それでも自らアグニは秘所を晒した。


 淫らで可愛らしい姿に眼を細め、こめかみに口づけると強張った身体からだんだん力が抜けていく。






「もうこんなに阻茎を濡らして、君は本当に感じやすい子だね」


「・・あんっ、あぁ。や、恥ずかしいです・・・劉さまっ」




 劉は指を巧みに動かし、くちゅくちゅとわざと大きい音を響かせてやりながら銀色の猫耳に囁く。



 先端からとろとろと露をしとどに溢れさせながら、アグニは腰を浮かせて甘えるような声をあげた。


 その尻の狭間にまで零れていく露を追った劉の指が、その奥にある窪んだ後孔に押し当てられる。





「・・・ん・・ぁあッ。まって、そこは・・っ」




 温くぬめった指に驚いて再び閉じようとした膝を掴み、体重をかけて脚を折り曲げてやった。


 すると大きく下肢を割られて後孔までも剥き出しになり、アグニは嫌がって泣きながら首を振る。



 入り口を解している劉の指が動くさまが見えているのか、頬を火照らせて灰色の瞳がぎゅっと閉じた。


 劉は淫らでいい眺めだなと思いつつ、片膝に手を置いて開脚させたまま中指で後孔をぐっと押す。





「ひあっ・・やぁん、あぅぅ・・・あッ、あッ」




 アグニ自身の零した雫に濡れた孔は抵抗があるものの、くちゅっと淫らな音をたてて劉の中指を迎える。


 その尻に潜っていく長い指の動きに合わせ、びくびく身体を跳ねさせて裏返った高い声が漏れた。





「おや、声の質が変わったね。
 君は阻茎よりこっちの方が感じるんだっけ?」


「・・・そ、そんなッ。や、あぁん・・ちがいっます・・ッ」




 男の子なのに中が悦いのは珍しいねと独り言のように呟くと、アグニは明らかに動揺したようだった。


 焦った様子で喘ぎながらも否定するが、指を増やされると甘く乱れていく声には説得力は無い。




「あれ、違うのかい?でもここらへんとか、悦くない?」




 惚けたふりで首を傾げつつも劉は、揃えた指を巧みに折り曲げて中の粘膜の性感体を探っていく。



 指先が硬さの違う小さな膨らみを見つけ、そこを押してやるとひくつくように内壁が蠢くのを感じた。


 途端にだらりと下がっていた長い尻尾がぴくりと動き、劉の動きを止めようと腕に巻きついてくる。





「あぁ!そこ、そこはだめ・・だめです・・・ッ」



「ふふ・・・

 我の指をきゅうきゅう締めつけて、黄猫(ホアンマオ)の中はすごくいやらしいね」


「・・・や、あう・・言わないでッ。くうっ・・あぁ・・ッ」





 異物の侵入を止めようとしているのか絡みついてくる熱い壁、その絶妙な締めつけに劉は舌を巻く。


 入り口は狭いのに中はふっくらと絶妙な締めで、挿入しなくてもどれだけ具合が悦いのか想像ついた。



 あの男前で女を誘うのに苦労してなさそうな執事が、同姓であるアグニを恋人にする理由(わけ)が解かる。


 こんなに可愛くて素直な性格で、しかも淫らな身体に名器まで揃った子はなかなかいないだろう。






「あぁあ、やぁ!・・ら、劉さ、まぁ・・ッ」





 切迫した高い嬌声に呼ばれて顔をあげると、泣き腫らした眼がこちらを縋るように見つめていた。



 さっきから中華服の袖を強く握りしめている褐色の右手を見ると、そこには鳥肌が立っている。


 快感に耐えきれぬと訴えるように、銀色の瞳の端から幾筋も涙が零れて紅潮した頬を伝っていく。




 そろそろ焦らすのも可哀そうになり、劉は後孔を弄りだしてからは放置していた性器を握ってやった。





「そろそろ達きたくなってきたかな、黄猫(ホアンマオ)?」





 そして解かりきっていることを尋ねてやると、アグニは荒い息を吐きながらこくこく必死にうなずいた。





「あぁ、あ・・もッ、だめ・・いくッ」


「いいよ。このまま、まずは達ってごらん」





 劉は優しく囁いて指の角度を変え、さっき粘膜の壁に見つけた小さな硬い膨らみを押してやった。


 すると体内の最も敏感な部分を弄られるのを恐怖するように、腕に巻きついたままの尻尾の力が増す。




「ひッ!ぁあぁ、あ・・あッ・・・あぁ――ッ!」




 アグニが琢情したのはその刹那で、丸い性器の先端に被せられていた劉の手に温かな白濁が滴った。







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